私の愛馬は狂暴です‏

maki-morita2008-02-02

今日の第2レースは騎乗予定がなかったんで、のんびりくつろいで見学してました。


まもなくパドックに現れた出走馬。
なにやら5番の馬がイレ込んでるけど…
いや、それより1番の栗毛ちょっとヤバくね?
なんて思ってたらその栗毛馬、ジョッキーが跨がったとたん、
グアーーーって真垂直に立ち上がり、そのまま後ろにズダーーン後転。


乗ってたジョッキーは下敷きにならずに済んだか…に見えたけど、左足をやられてしまったみたいでかなり痛そう。
ただちに救急車によって運ばれて行った彼。


…あれ、じゃあ代わりに誰が乗るんかな?
それとも出走取消かな?
などとふと考えたその時、見知らぬおっさんが駆け付けて来て


「おい!おメェ乗れるか!?」


やて。
キターーー!
たった今、ジョッキーを病院送りにした暴れ馬に乗れ言うんですかっ?!
キミ次第だ、乗りたくなければそれで全然構わない、と競馬会の人は言うんやけど…。
他のジョッキーは哀れそうな目でこっちを見て


「アタシだったら絶対乗らないよ…」


なんて言ってる。
そりゃあ目の前であんな光景見せられたらなぁ。


ふとレースブックを取り出して出走メンバーを確認してみると、前走が20馬身差の最下位だの、そんな馬ばっかり。
それに比べりゃその栗毛馬は未勝利ながらマシな競争成績。
こりゃあ勝てるぞ…
てなわけで、


「はいはい!モリタ乗りますっ!」


と手を挙げて立候補。
再びパドックに現れた栗毛馬バルビエール。
相変わらずイレ込んでるけど、どうも廐務員がその馬を怒らせてる気がしてならない。
騎乗命令がかかり、まずその廐務員に言ったことは、


「自分で飛び乗るから心配しないで。あなたはただ馬を前に歩かせてください。」


と指示してやりました。
なのに何度「止まらないで、歩かせて!」と言っても、馬が暴れるたびにワーワー怒鳴って手綱を引っ張るその男。
もうさすがにプチンと切れて、


おいっ、聞け!!


前に歩かせろ!!


余計なことすんな!!


と観客にも聞こえるような大声で言ってやると、その男ようやく怒鳴るのを止めて馬と一緒に黙って歩き出す。
1、2で飛び乗ると、すかさず


「もういい、離せ!!」


と指示して、すぐに返し馬をしました。
すると実にスムーズなキャンターをするじゃないですか。
スタート前の輪乗りでも大人しい。
あの男に毎日世話をされてるこの馬が可哀相になったね。
で、レースはというと2馬身差の快勝。
負傷したS・ベイリー騎手には悪いけど非常にラッキーでした。


ちなみにあの廐務員は、実は調教師本人だったのです。
自分のことを気に入ってくれたみたいで、次の開催でもオレの馬に乗っていいぞと言われて、嬉しいけどなんかイヤな予感が…