ぐだぐだ思い出話と 明日の展望

日頃から騎手のガッツポーズ否定派なんやけど、たった一度だけ自分自身もハデにやってしまったことがあります。





乗馬クラブの人間が来て


「フォーロリーはどれ?」


と聞いてきたのは5年前の秋。


「えっ、フォーロリー引退!? 乗馬行き!? そんなん聞いてないで!!」


あわてて調教師のところへ行き、あの馬はまだ走れる!と直訴。たしかに最下位に近い成績ばかり続いてたけど、どうも力出し切ってないんやないかと傍から見てて思った。大厩舎だけに、この馬のことまで神経が行き届いてないんやないかと。




「あぁもう、そんならおめーが面倒みれ。」




と面倒臭そうに調教師。
そんなわけでフォーロリーのモリタ厩舎」への転厩が決まりました。
左遷??という形で馬とともにアリスへ飛ばされたmaki-morita、その日から調教メニューは自分で考え、もちろんレースにも自分で騎乗。




しかしすぐには結果は出ません。
転厩緒戦はまるで目も当てられない内容。日本の馬でいえば、ホットシークレットのようなタイプかな。外から来られたりするとすぐに諦めてしまう。
2戦目は後方からの競馬に徹して3着。ちょっとは光が見えてきた。
3戦目はまた惨敗。乗り難しい。ちょっとでも機嫌損ねたらアウト。
ホットシークレットローゼンカバリーサイレントハンター、ああいった癖馬たちとたぶん気性は似てるんやないかと思う。
ならば、もう少しゆったりした距離で逃げ戦法というのはどうか?




そして4戦目、1400m。
アリスのこの距離はコーナーを3つ回るのでペースが落ち着き、ほとんど中距離の部類に入ります。
日本の3大癖馬たちと同じく、たまに出遅れたりするのでとにかくスタートに全神経集中。
ポンと出て注文通りの逃げが打てた。
とにかく外から来られるとアウトなので、常に1馬身以上の差を保って逃げる。
そして4コーナー、手応えはまだ余裕。こっ、これはもしかしたら....!?!?




そこから先はもう夢中で追いまくったな。
アリスに左遷以来、3か月まったく勝てなくてスランプやったし。スランプなのは馬も同様。
リードを保ったまま先頭でゴールした瞬間は、勝手にガッツポーズしてた。




ようやった!!
ガッツポーズの後はバシバシ馬の首筋を叩きまくった。
もうね、なんか泣きたいくらい。あんなに嬉しい勝利は後にも先にもない。




観客にアピールするようなガッツポーズは見てて良い気分しないけど、思わずやっちゃった的なのは、まぁ良いんでないかと思う。許して。
....そして明日の第1レース、




Race.1 3up Maiden 1200m オリンピックシティー (9)
なんか似た境遇やなぁ。
ここまで5戦未勝利、入着なし。
二走前で馬主が権利を手放して、ほんとなら引退のはずだったところを調教師が「あと一戦だけ...」と自分名義で走らせる。ところが見せ場なしの9着。今度こそ引退....




のはずが、一人だけ手応えをつかんだ人間がいましたとさ。
結果は9着でも内容は見違えるほどに良化。乗ってた騎手はそう感じました。
「引退だよな...?」とつぶやく調教師に「あと一戦...」と囁やいたのはハイ私です。
かつては返し馬でパニックになって横転した馬が、今は発汗もなく落ち着きが出てきた。
今回は一頭速い逃げ馬がペースをつくってくれそうだし、競馬はしやすいはず。最後方でもいいから、とにかく溜めて溜めて、直線で鬼脚などを使ってくれなくとも、最後までハミ取って普通に走ってくれれば、ジェラルトンの未勝利戦くらいなら差し切れると思う。
こっちも3か月未勝利やしね、ここらへんでなんとかしたいよ。




あ、もし勝っても今回はガッツポーズ自重ね。勝手に出てもうたときは知らん。