どうしようもない僕に天使が舞い降りた

となりの厩舎で働いてるのはみーんな女の子やというのに、どうしてウチの厩舎はこうもオトコ臭い匂いしかしないのか…。


そんな野郎ばかりの厩舎に、まばゆい光を放って一人の女の子が現れました。
名前はアンジェリカ。
あぁ、まさにエンジェル、天使やわ。
ウチに滞在してる遠征馬の世話をしてるんやけど、だからレースが終われば当然すぐに帰ってしまうのですが。


しかし陸部時代をふと思い出したね。
やっぱりマネージャーに可愛いコがいると、隣のテニスコートに気になるコがいると、体育の補習か何かでGさんが放課後のグラウンドにいたりすると、俄然ヤル気が出てきたもんです。
減量してて頭ん中あんまり酸素行き渡ってないから、普段は他人にはまるで無関心な自分が、


「温度計やったらあっちにあるよ、持ってきたるわ。」


「汗拭くんやったら、馬持っといたげるよ。」


「もう仕事終わり?じゃ家まで車で送ったろうか?」


などとずいぶん世話やいてるし。
こんなmaki-morita見たことない。
まぁしかし予定通り、土曜のレースが終わり日曜にはメルボルンへと帰ってしまったのですが、彼女がいた数日間は良い刺激になったし、なんとなくパワーをいっぱいもらえた気がする。


そのパワーを得て今日の開催に挑んだのですが…。
結果はやっぱダメでした。
人気薄の馬をそこそこ上位に持ってくることは出来るねんけど、いざトップハンデの本命馬に跨がると…アカンねんな、これが。
見た目には、ソツなく好位置で競馬してるねんけど、やっぱりペース判断とか、仕掛けるタイミングとかが先輩ジョッキーに比べるとまだまだ。
詰めが甘く2、3着が多いのは偶然ではなく、そういうところから来てるんやとハッキリ分かりました。
もっと研究せなあかんな。